ローソン健康保険組合
メンタルヘルスの基礎知識

3. 災害時の健康とメンタルヘルス


災害時の健康を守るために

 大災害となった「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」(東日本大震災)では、多くの方々が被災され、そして多くの尊い命が奪われました。大地震、大津波、大火災、原子力発電所の事故などが立て続けに起き、いまだに余震が続くなか、被災地の皆さんには、心身ともに休まらない日々が続いています。
 震災直後の救命救急医療とともに、長期化が予想される避難生活では、体力の低下、感染症の発生、精神的なダメージなどといった健康被害をいかに防ぐかが重要となります。
 避難生活において、できるだけ健康に過ごしていただくための情報を下記のWEBサイトで公開しています。ご参照ください。

 東北地方及び関東地方で発生した大規模災害によって被災された方々に対して、 広く心のケアを提供することを目的とし、(社)日本臨床心理士会と(社)日本心理臨床学会は、東日本大震災心理支援センターを3 月23 日(水)に開設いたしました。

災害時のメンタルヘルス

●心のけが―PTSD(外傷後ストレス障害)

 大きな災害や事故などで、自分や親しい人の生命にかかわるような体験をすると、災害や事故からしばらくたって、心身に異変が生じることがあります。これを「PTSD(外傷後ストレス障害)」といいます。いわば、心のけが(トラウマ)です。
 平成7年(1995年)の阪神・淡路大震災のあとに、多くの人がPTSDを発症したことを踏まえ、今回の東日本大震災でも、PTSDに対する早期のケアも含めて、被災者の方々へのメンタルヘルスケアが必要なことはいうまでもありません。

●PTSDの症状

  恐怖経験の記憶が何度も甦ってきて、同じような恐怖感に襲われることがあります。これは正常な反応で、多くの人は2、3週間のうちに落ち着くものです。しかし、次のような症状が3つ以上みられ、1カ月以上続く場合はPTSDと診断されます。
【こんな症状は、ありませんか?】

・ ちょっとしたことがきっかけで、つらい記憶がよみがえる(フラッシュバック)

・ 悪い夢をみる

・ つらい体験を思い出させるような状況を避けようとする

・ 現実感がわかない

・ 感情や関心などがマヒする

・ つらい体験についての記憶を失う

・ 不眠やイライラが続く

・ 集中力が低下する

・ 物音に過敏になる


子どもの場合は、上記に加えて次のような症状や行動状が見られることがあります。

・ 頭痛や腹痛、発熱、めまいなどの体の不調

・ 両親から離れようとしない

・ お漏らしやおねしょ、指しゃぶり、抱っこなどの赤ちゃん返り

・ 感情や行動がコントロールできない


「3つの安らぎ」で、ケアとサポートを

 PTSDの人には、あれこれと言ったりせず、そのままの気持ちを受け止めて支えてあげることが大切です。そして「3つの安らぎ」に配慮し、温かく見守って、自然な回復を促しましょう。

【3つの安らぎ】

・「安全」……もう危険な目にはあわない
・「安心」……助け、支えてくれる人がいる
・「安眠」……ゆっくりと眠れる環境

専門的なケア

 メンタルクリニックなどを受診し、薬物療法(抗うつ薬など)やカウンセリングを受けることが、症状改善に有効とされています。


「心の相談緊急電話」開設のお知らせ

 被災者の方々、支援活動に従事されている方々の、精神的な悩みや問題についての相談を受け付ける電話窓口が開設されています。精神科医師、臨床心理士、保健師、精神保健福祉士など、心の健康に関する専門家が無料で相談に応じます。

心の相談緊急電話 0120-111-916(フリーダイヤル)
実施日 2011年3月19日(土)~4月23日(土)の毎日(推移により延長することもあり)
受付時間 午後1時~午後10時
担当事務局 日本精神衛生学会  http://www.seishineisei.gr.jp
主催団体 日本精神衛生学会、日本臨床心理士会、東京臨床心理士会、日本電話相談学会
協賛団体 (財)日本生産性本部メンタルヘルス研究所

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